勉強しすぎは「頭」に悪い!?2年あれば十分な中学受験

中学受験というのは、あらゆる「受験勉強」の中で最も長時間を要する……親御さんはなぜかそう思い込んでいる。

だが、私は思う。
受験勉強は2年間で十分。最大でも3年、とお勧めしたい。

逆に言えば、5年も6年もかけないと合格できないのであれば、それはその子にとって「適正」ではない。

ではなぜ、世の中学受験はこれほど長く、険しい道のりになってしまったのだろうか。

キャリーバッグいっぱいの教材と、明後日を向く子ども
関西の大手塾は、小6になれば週6日通うのは普通である。
さらに、大手の隙間時間に個別指導や家庭教師を入れれば、週7日どころか「週8日」とうスケジュールもありだ。

で、これだけやって、きちんと消化できているかと言えば、残念ながらそうではない子の方が圧倒的に多い。
「消化できない(=復習テストで点数が取れない)」

だから、焦ってまた個別指導を加算する……。

以前、私がいた塾に、個別指導を受けに来た子がいた。
お母さんはいつも同伴だったのだが、なぜかいつもキャリーバッグをガラガラと引いていらっしゃる。

「一体、何が入っているのだろう?」と遠目から見ていると、中は子どもの教材がぎっしり!
相方の先生が、『いつも一式持っていらっしゃるのですか?』と慇懃に尋ねると、お母さんは胸を張ってこうおっしゃった。

『はい!空き時間がもったいないので!』

その横で、当の本人は、所在なさげにあさっての方角を向いていた。

これが、今の過熱する中学受験のリアルな縮図である。

■ 自転車操業の塾選び、その先に待つもの
元々、大手塾の宿題は、そのクラスで一番処理能力の高い子に合わせて出される。だから、こなせないということは、今の実力にクラスが見合っていないということになる。

昔は、塾生が山ほどいたため、クラスごとに宿題やテストの難易度が細かく分けられたこのシステムが見事に機能していた。

しかし今は違う。
毎週、習った宿題を自分で消化できないまま、次の単元へと進んでいく。
そして月一回のテストがやってきて、復習の出来が試される。
満足にできるわけがない。当たり前の理屈だ。

言ってみれば「自転車操業」である。いや、それよりも効率が悪い。

不安になって塾に相談すると、                「勉強時間が足りない」                    「講座が少ない」と言われ、さらにオプション講座を増やすことばかり提案される。

「長期休暇こそ、自分の勉強を!」と思っても、季節講習が朝から晩までみっちり組まれており、否応なく費用は引き落とされる。

一部のトップ層を除けば、みんな似たり寄ったりの悲惨な状況だ。
それでも、親御さんは方針を変えない。

なぜか。
答えは簡単。「ある集団から零れ落ちることに対する恐怖」からである。
「大手塾じゃないと難関校には合格しない」という刷り込みが、特に母親層に蔓延しているのだ。

■ 受験で合格しても、「燃え尽き症候群」では意味がない
少し視点を変えてみよう。
いくら少子化といっても、今は小学校の低学年(「お受験」組はさらに数年前)から塾通いが始まる。小1からやれば、実に6年間だ。下に弟妹がいれば、家庭としての塾通い年数はさらに増える。
お母さんが働いているご家庭では、これは経済的にも精神的にもかなりの負担となるはずだ。

それでも、この過酷な状況から外れようとしない。

これで本当に子どもが「育つ」のであれば良いのだが、失うものがあまりに多すぎると私は思う。

いろんなことに好奇心を持ち、首を突っ込んでみるとか、他者の立場に立って物を考える……そんな心の余裕は当然なくなる。何より、家族で過ごす時間が取れない。お父さんは完全にほったらかしのはずだ。

ハードな受験を終えて志望校に合格しても、子供が疲弊しきっていては何にもならない。
いま、私立中学に通う子供達の間で不登校が急増しているのは、無理もない話なのだ。

■ 「あてがわれる勉強」の限界と、夢の消滅
そんな現状下で、学校現場は変わろうとしている。
何かといえば「アクティブラーニング(探求学習)」だ。実情は、学校の先生側もよく分かっていないケースが多いのだが、とにかく「探求だ」「自発性だ」と鼻息が荒い。

アクティブなラーニングをしなければならないほど、子供がアクティブではなくなっているのだ。そして、その原因は明らかに長すぎる受験勉強なのである。

でも実際問題として、5年も6年も「あてがわれた大量の宿題」をこなすだけの勉強しかしてこなかった子に、急にそんなことを要求しても無理な話だ。そういう子達にとって、「自分でテーマを探せ」というのは、無理難題、超難問である。

自分でモノを考えなくなった日本、日本人。
その大きなツケが、今まさに姿を現しつつある。

このまま放置すれば、子供達の未来は暗いものになってしまう。
この危機感を理解できた親御さんは、手遅れになる前に、こっそり軌道修正をするべきですよ!


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