うちの子、どうして算数ができないの?!


今、文科省では「算数」という表記をやめて「数学」にしてはどうかという議論が持ち上がっているという。算数を教えている身としては、是が非でも取り下げてもらいたい議案だ。
なぜなら、算数には「数学」にはない「特殊算」と呼ばれる日本ならではのカテゴリーがあり、それが数学に代わることでなし崩し的になくなっていくことが目に見えているからだ。
今般の皇室典範の改定と同根である。非常に厄介な動きだ。
それはともかく、本題に入ろう。
算数を苦手にしている子は、なぜ算数ができないか?というのが今日の「お題」である。


私は授業の際、子供に嫌がられるくらい発問を連発する。
子供達はそれに応答するわけだが、これをしつこく繰り返すうちに色々な「力」が身に着いてくるのである。その一つが「文章読解力」である。少し考えれば当然のことだとわかる。
算数の問題文は実に簡潔で、無駄と漏れがない「説明文」なのだ。その短いセンテンスの中に答えに繋がる糸口が盛り込まれている。それを紐解いていくにあたって、まずは問題の言わんとするところを整理し、「視覚化」せねばならない。した方が良いのではなく「せねばならない」のだ。
低学年時は問題が簡単なので、何も書かずに解けてしまう。が、この時に時間を惜しまず、整理し、視覚化することを体得すれば、それは一生ものである。
ところが最近は中学受験が低年齢化して、早くからたくさんの問題に当たらせ、かつ正答を強いる(クラス替えのため)。そのため手を動かさずに記憶中枢を刺激する方が重要視され、思考力が伸びない。
そういう子供が私の前に現れるとどうなるか?
大手塾で言われなかったことを指摘されるのである。
宿題をしていけば黙って無事に過ごせた授業は、うちにはない。
宿題はあるが、私はそんなものは信じていない。
ここで、賢明な子は「わかる」と「できる」は違うということに気がつく。
よって、お家でやみくもに、がむしゃらに「ベンキョー」させたからといって、伸びないのでだ。(親が宿題を解くのも子供のためにはなりません)
ダブルコマンドはだめなのである。それは年齢が上がってからにするべきで、まずは「今週習ったこと」を深く理解し、同種や亜種の問題を難なく解けるかどうかがチェックポイントである。
そのために何が必要かと言えば、大量の宿題ではなくて、授業の振り返りを徹底し、そののちに類題をすることである。
結局はある程度の記憶力がなければできないのだが、端っから「解法を覚えてしまえ法」とは一線を画す勉強だ。
その振り返りができるように私は何度も発問し、短期記憶にうったえている。それを当日の夜にするべきなのだが、ほぼ誰もしない。これも伸びない原因の一つだ。
短期記憶は三日も経てば消滅するからである。

私の発問の殆どは、「視力検査」と呼んでいるものだ。
どういうことかと言えば、
「考えて答えろ」ではなくて、問題文に書いていることを確認するために発問だ。これが応えられなければ整理、視覚化などできるわけがない。

やっていて気が付くのは、できない子ほど「変な読み方」をしている。
斜め読み、飛ばし読み、結論無視…(^^ゞ
当然、こういう読み方では線分図など描けない。

手順にしたがって何かをする。
取り扱い説明書とか料理のレシピと同じである。
算数の苦手な子には、無駄な自宅学習よりもカレーのルーの箱に書いてあるレシピを見てカレーを作ってごらん!とやらせた方が効果があるかもしれない。
現にある有名予備校のトップ講師が数学のテキストのまえがきにそのことを書いておられた。
因みに、そのまえがきにはもう一つ書いてあった。大学受験の数学ができる要素として、「自分の下駄箱に間違えずに靴を入れらるかどうか」だそうだ。

つまり、この二つができる子なら数学ができるようになるということなのだ。
これは是非、中学受験生の親御さん、特にお母さんには熟知しておいてほしい。
年端も行かぬ子に志望校を押し付け、難解な算数をさせ、競わせる…。
それも結構だが(いや結構ではないのだが!)、まずは鉛筆の持ち方、ノートと消しゴムの使い方、学校の持ち物の準備と整理、リズム感のある生活習慣、そして日本人としての最低限の手先を使うコツ…そんなものを徹底的にしつけておくべきだと私は確信してる。


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