勉強は何回やれば伸びるのか?
これにはいろんな説があるようだ。 この「命題」を質問したのがどんな人かによっても、答えは違ってくる。 そして、残念というか不公平と言うのか、単純に量だけで比較すると、大きな差が出る。
◆【残酷な現実?成績は「長方形の面積」】 私が昔籍をおいた塾では、「成績は長方形の面積だ」と説明していた。
長方形の縦を知能指数、横を時間と設定し、たとえば2種類の長方形の面積が同じだとすると、縦が長いものは、横は短くて済む。
つまりは、知能指数が高い子は、勉強時間が短く済むと説明していた。
認めたくはないが、現実ではある。
何回やっても、正解に辿り着けない子もいれば、1回やっただけで解法のポイントがすっと頭に入り、応用が利く子もいる。もうこれは、背が高いか、低いかの違いみたいなものを解釈せざるを得ないように感じられ、こういうケースは論じて意味がないように思うので、ここでは「そうはできない子」を対象に考えてみたい。
◆【灘中高出身の市長がやっていた“振り返り”】
以前、灘中高を卒業した、ある市長さんの勉強に関する話を見たことがある。
それは勉強で気を付けたポイントは何だったかという問いで、この市長さんはこう答えた。
曰く、「授業やテストが終わった後に振り返りをしていた」というのだ。
私はこの“勉強法”を子供達、とくに私立中学に入学した子(特にクラブ活動をしている子)に勧めている。
その日ならったことをがっつり時間をとってやり直すというのはなかなかできない。
でも、「今日はあんな問題をやったなぁ」とか「あの問題はあれをあれしてこうやって解いたなぁ」、あるいは「今日のテストのあの問題、こうやってああやって答えを出せたので、うまくいった。
正解しているはずだ」…などという風に“振り返った”というのだ。
◆【算数ができない子は「記憶」を探している】
人間は脳の能力の15%使えば良い方で、100%使うことなどは到底無理だという、そんなことがテーマの映画を観たことがあるが、それはちょっと違うだろうと思っている。
ただ、勉強が上手にできる人は、“使い方”が上手なのだと思う。
算数をやっていて、得意ではない子は「どうやったら解けるんだっけ?」と嘆いている。
つまりこの子は“以前やった記憶”を探している。
が、できる子は問題文が言っていることを実に素直に視覚化していく。
さらに言えば、その結果がすぐに見えているわけで、だからあまり事細かに解法を書かない。
設定が複雑な問題なら整理していく必要があるが、単純なものなら、問題を見た瞬間に答えまでわかってしまう。
“見え見え”というやつだ。
皆が皆、そうはなれなくとも、訓練(成功体験)を重ねることで、落ち着いて問題を整理し、設問が要求している答えを引っ張り出せるようになる。
ということはやはり、算数ができるようになるには相当量の時間と回数が必要であると結論すべきだ。
ただ、これが慣れてくると、脳はうまくやり過ごすコツを披露し始める。これが俗に言う、“応用が利く”というやつだ。
「基本はできるが応用問題になるとできない」という子は、基本の段階で“コツを覚えようとする”から応用が利かないのである。
◆【脳は「忘れながら覚える」ようにできている】
ヒトの脳は忘れながら覚える…一度見聞きしたことは短期記憶という入れ物に一旦入れるが、使わなければ数日で完全消去してしまう。 例えば、朝電車の駅で見た人のことをいつまで覚えているだろうか?その人がものすごく印象に残る特徴的な人なら結構長い間覚えているかもしれないが普通は夜にはもう忘れている。 警察が事件の捜査で一般人に「怪しい人はいませんでしたか?」などと聞くのは非常に危ういなと思ってしまう。 だが、朝、駅で見かけ、夕方もまた同じ人を見たら話は違ってくる。
私は昔ある有名人に二日連続で遭遇したことがある。 二日目は言葉を交わした。
その時“彼”は「あなたとはどこかで会ったよね」と言った。
「はい、昨日喫茶店で隣に…」というと彼は膝を打った。
脳ってそういうものだ。
◆【結局、何回やれば伸びるの?】
だが、頭から「宿題は少なくとも3回やりなさい」と命じられると、これは嫌になる。
嫌になられたらしなくなるので、中学受験は素直に言うことを聞く、低学年から始めるようになったのだ…と私は腑に落ちている。
では、冒頭の命題に答えるならどうなるか。
自信がつくまで何回でもやるというのが正解にはなる。だが、振り返りをうまく利用すれば、その時間がかなり短縮できると私は思っている。
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